一人ひとりが“エシカル消費”の基準を持つ時代へ - SB横浜2021現地レポートVol.1 -




SDGs / サステナブル / エシカル消費、これらの言葉がビジネスだけではなく、生活の中でも頻繁に交わされる時代に突入しています。


子供たちが学校でSDGsを必修科目として学習する今、私たち大人も、言葉の意味を知るだけではなく、“サステナブル”をより本質的に理解する必要があるのではないでしょうか?


日本におけるサステナブル・ブランド国際会議を運営する株式会社博展は、2月24日~25日にパシフィコ横浜ノースにて「サステナブル・ブランド国際会議 2021 横浜」を開催。


日本だけでなく世界各国のトップ企業や次世代を担う若者たちが”サステナブル”について熱く議論を交わしました。


今回は新卒1年目の新人がZ世代のいち生活者として、本イベントにリアルで参加。

イベントの様子をレポートするだけでなく、1人の若者という視点から、日本を取り巻く“サステナブル”の考えについて考察します!






「サステナブル・ブランド国際会議 2021 横浜 」とは



日本において5回目となる本会議は、世界的なサステナビリティの潮流や取り組みを共有し、各業界の最前線で活躍する企業と情報交換できるコミュニティイベントです。

米国サステナブル・ライフ・メディア社が展開する国際会議で、13カ国14 都市で開催(2019 年度)され、来場者数はグローバルで1.3 万人を超える規模となっています。


今回はコロナ禍を受けてリアル×オンラインのハイブリット開催になりました。


『WE ARE REGENERATION』をテーマに、200名におよぶ国内外のイノベーションリーダーが登壇。

サステナビリティを考える上で必要な知識を共有するだけではなく、世界を代表するトップ企業が自社の取り組みを紹介することで、企業という枠組みを超えて地球規模でサステナビリティの実現を目指しています。


さらに、“次世代育成”として高校生 / 大学生によるプログラムや、“地方創生・地域活性”を切り口に、全国のSDGs未来都市等の自治体担当者が一堂に会するプログラム「第3回未来まちづくりフォーラム」を同時開催。


2030年のSDGs達成に向けて世代を問わず多くのイノベーターが多角的なテーマで熱い議論を交わしました。




Agenda


♦コロナ下でも安心して楽しめる感染予防対策


♦“エシカル”とは何か、ファッション業界の未来を考える


♦一人一人が心に“エシカル”の基準を






感染症対策も徹底

リアルとオンラインの同時開催へ



会場では検温 / アルコール消毒だけでなく、入場制限や密回避対策など、全ての場面で感染症対策が徹底されており、安心して過ごすことができました。


会場には展示エリアとセミナーのトラックが8つあり、自分の興味関心に合わせてセッションを選択することができました。


協賛企業ブースでは、今まで知らなかった企業のサステナブルに関する取り組みが展示されており、非常に興味深かったです。



会場には企業の方だけでなく、制服姿の高校生や大学生も多く来場していました。

各ブースでは学生たちが企業の方々に質問をしている姿が多く見られ、改めて若者にとって”サステナブル”というキーワードが興味関心の的なのだと再確認しました。


また、直接意見を交わす場が少ない現状だからこそ、本イベントは企業同士だけでなく学生と企業の出会いが広がる貴重な場であると再確認しました。




各ブースには企業のロゴが手に浮かび上がるアルコール什器が!

感染拡大防止対策をポジティブに、遊び心のあるアレンジを加えた素敵な取り組みだと思いました。








心のもやもやを無視しない

エシカルに生きるために企業と消費者に求められること



今回1番楽しみにしていたセッション、『ファッションはエシカルを欠いては生きていけない』。



<左から長谷川氏 / 植月氏 / 溝口氏 / モニターに映るのはオンライン参加の山田氏>



モデルの長谷川ミラ氏をファシリテーターに、ライフスタイルアクセント株式会社 山田氏、豊島株式会社 溝口氏、Enter the E株式会社 植月氏が登壇。

ファッション業界においてエシカルファッションを推進し続ける4名がファッション業界の現状や課題、ファストファッションに対する意見交換など深い議論を交わしました。



私は、ファッションとは日常を彩る、ときめきを与えてくれる存在だと感じています。

しかし、ここ数年間はなぜか純粋にファッションを楽しめなくなったように感じていました。

年々強くなるこのもやもやとした気持ちの原因は何か。

今回のセミナーに答えが隠れているような気がして参加をしました。


実際にセミナーでは今まで知らなかった様々なサステナブルの事業を知るとともに、4名のファッション業界の未来への熱い想いを知り、自分自身の日々の行動を見直すきっかけになりました。






♦エシカルとは何者?



エシカルとは、直訳すると「倫理的・道徳的」という意味の形容詞です。


少し固い印象を抱きがちな“エシカル”という言葉ですが、簡単に言うと“よい行い”という意味。

サステナブルという文脈では、“地球環境への配慮”“社会課題への貢献”という意味で使用されることが多い言葉です。


今回のテーマである“エシカルファッション”については、2008年に雑誌「VOGUE」がエシカルファッションの特集を組んでから注目が高まっているキーワードです。






◆4名が考える“エシカルファッション”の正体



本セッションは長谷川氏をファシリテーターに、3名の事業紹介の後、テーマ別に対談を行う形式で進行されました。


最初に3名の事業紹介が行われ、3名の“エシカルファッション”に対する考えや想いを紹介しました。



<オンラインで参加した山田氏>



山田氏は“語れるもので日々を豊かに”という、大切にしている想いを紹介。

誰かに語りたくなる商品を日本のモノづくりを通して体現する事業を紹介しました。


GUCCIのパリ店で働いた際、同僚に“なぜ日本には本物のブランドがないの?”と言われたことがきっかけに、デザインだけでなく、もの作りから生まれた日本産の衣服を作ろうと決心したといいます。


作り手を大切にする“クラフトマンシップ”によって語ることのできる洋服の制作をミッションにしているとお話しされました。


10年後もふわふわなセーター / 生産工場の名前が書いてある衣類の販売、汚れの付かないパンツや絶対に穴が開かない靴下を開発し、長く着られるという最高のエコを目指していると語ります。







<オーガニックコットンの魅力を伝える溝口氏>



溝口氏はオーガニックコットンの栽培 / 販売を通じてエシカルな社会を目指す事業を紹介。


4つの柱でファッション業界の仕組みを変えるための取り組みを行っているといいます。


①素材:サステナブル素材の普及

・オーガニックコットン / 再生ポリエステルの利用

・バイオ素材 / 生分解繊維の開発


②生産:染色 / 法制工程の環境、労働問題の解決

・省水汚染 / デジタルプリントの利用

・縫製工場のCSR基準の整備


③販売:生産と販売のロスをなくす

・3Dソフトを使用したデザイン

・AIを活用した需要予測


④消費:服を通じて社会に貢献できる仕組み作り

・商品に寄付金を付けて社会活動を支援

・商品を回収して再資源に

・スマートウェアの活用


ファッション業界の裏側を知る存在だからこそ、責任をもってモノづくりや情報開示の仕組みを作ることを意識していると説明。

全ての服の10%をオーガニックコットンに変えることで救われる農家の人が大勢いると強調しました。







<スローファッションについて語る植月氏>



植月氏は世界中から“エシカル”なファッションを取り寄せ、販売するセレクトショップの運営事業を紹介。


エシカルなファッションを取り入れたくても取り入れられないという現状が課題だと考え、セレクトショップを経営しているといいます。

エシカルでありながらも、普通の人が普通に着用できる衣類の販売を通じ、エシカルファッションが日常に溶け込む世界を目指されています。


他にも、衣類ロスに対する取り組みを紹介。

在庫販売ではなく受注販売を行い、必要な人に必要な分だけ洋服を届ける、“スローファッション”の取り組みが大切だと語りました。


エシカルなファッションが当たり前な社会になることを目指す強い想いがひしひしと伝わってくる熱いメッセージでした。







◆10%のオーガニックコットン、本当に効果はあるの?


次に、「現状のファッション業界の課題は何か」、「エシカルとは何か」について、様々な切り口からディスカッションを開催。

3名のサステナブル観を軸に、熱い意見が交わされました。



「たった10%をオーガニックコットンに変えることに、そんなに意味があるの?

 全部を変えなくてはエシカルであるとは言えないのではないか?」


長谷川氏の質問に対して溝口氏は、価格面 / 消費者からの合意形成の難しさという側面から、オーガニックコットン導入のハードルの高さを説明。

たった10%をオーガニックコットンに変更するだけで価格が上昇するにも関わらず、見た目には何の変化もないことから、企業も消費者も価格変動をなかなか受け入れることが難しいとお話しされました。


一方、10%オーガニックコットンを使用することで、流通量は10倍に。

流通量を増やすことで価格を下げ、生産者の意欲向上につながるという利点があるため、ポジティブな状態だと説明しました。







♦“エシカルである”とは果たして何だろうか?



山田氏は“エシカル”という言葉をどう置き換えるかということにヒントがあると語ります。

“エシカルファッション”とは、クラフトマンシップ?オーガニックコットン?再利用できること?


全てを解決することは難しいけれど、一人ひとりが心のモヤモヤを感じずに過ごすことができる状態こそ“エシカル”だと考え、ファッション業界においても自分たちのブランドがどうありたいかという目標に向かって軽やかに山を登ることがエシカルであることなのではないかと語りました。


植月氏は“エシカルファッション”と聞くとどうしても堅苦しい印象があるが、もっと日常になじむべきものだと主張。

“エシカル”であることを特別だとするのではなく、当たり前になるために事業を推進したいと強調しました。







♦ファストファッションは悪か?


<ファッションに対する想いを語る長谷川氏>



ファストファッションが勢力を広げる中で、“ファストファッションがファッションを殺したのではないか”という意見を耳にしたことがあります。



長谷川氏は本来着飾り彩るものであるはずのファッションが、ファストファッションによって変わってしまったと主張します。

“安く大量に”という事業スタイルがファッションの定義を変えてしまったのではないか、と。



対して山田氏は“ファッションをどこで切り取るかによって変わる”とし、今のファッション業界はファッションの役割を改めて考えるべきだと主張しました。

さらに、“ファッションは本来アートであるべきなのに、今はスポーツをしているようだ”と続け、ファッションのあるべき姿から会社や社会のあるべき姿を考えることが重要なのだと語りました。



植月氏はエシカルファッションが増えても大量生産大量消費の現状がある限り、何も意味をなしていないと主張。

ビジネスモデルを変え、長く愛される洋服を世界中で作ることをしない限りファッション業界は変わらないとお話しされました。



対して溝口氏は、ファストファッションも少しずつエシカル消費を意識する傾向があると説明。

ファッション業界は消費者のニーズに敏感だからこそ、“エシカルファッション”を目指す傾向は高まっているとお話しされました。

だからこそ、もっと加速的に推進できるように尽力していきたいとお話しされました。







企業だけではなく消費者も共に“エシカル”を目指す



様々なテーマで行われたディスカッションを聞き、印象に残った内容が2つあります。


1つは情報を開示すること、そして常に新しい情報を得るためにアンテナを張ることの重要性。


今、エシカルファッションへの注目度は高まっており、多くの人が一部サステナブルな素材を利用した衣類を持っているほどに広まっているように感じています。


私も数着、サステナブルな素材を使用した衣服を保有していますが、エシカルファッションというワードのみが先行し、その中身、目指すべき姿まで意識できていなかったように感じます。


サステナブルな素材を使用することでどのような利点があるのか、地球にどのような恩恵を与えられるのかを意識しない限り、私の行動は決してエシカルであるとは言えないのかもしれません。


企業がエシカルな取り組みを、地球への影響まで含めてしっかり伝えることはもちろん、消費者もその商品 / 取り組みがどのように地球 / 社会に作用するのか細部まで理解すること。

当たり前に聞こえてしまうこの重要性を自身の行動を通じて改めて再確認しました。


サステナブル素材を使用した服の購入をきっかけに、エシカル消費について調べてみる。

何より自主的に関心を持ち、理解することが重要。

私たち消費者はエシカルであるということにより関心をもって物事をチョイスする必要があるかもしれません。



2つ目は、誰もが自分の中に"エシカル"という基準を持つべきだということ。


セッション内で山田氏が話していた、「定義はバラバラでもいいから、自分がどうありたいか、どうすれば心がイガイガしないかということをエシカル消費の最低ラインにすると良い」という印象的な言葉。


登壇された3名でも、クラフトマンシップ / スローファッション / オーガニックコットンなどエシカルファッションへのアプローチ方法がプロダクトやマインドなど異なるように、私たち消費者も自分の中に"エシカル"という基準を持つべきかもしれません。


私が前述した自分の行動へのもやもやした気持ちは、服を消耗品として扱ってしまう行動に対しての感情だと感じています。


経済的な問題と流行に敏感でいなければいけないと感じる気持ち、大学生時代この両者を解消してくれる逃げ道はファストファッションでした。

きっと私の中のエシカルの基準は、“自分の本当に好きなものを長く愛用すること”なのだと思います。


ファッションという身近なテーマからエシカルという言葉について学ぶことができたからこそ気づくことができた内容が多く、貴重な経験になりました。






企業だけでなく、個人の生活にもエシカル消費に対する意識を



今まで漠然と、企業や国が取り組む課題としての認識が強かったSDGs / サステナブルという内容は、現在すでに私たちひとり一人が意識するべき課題へと変化を遂げました。

その中で今、“エシカルであること”が私たち生活者には求められているのではないでしょうか?


“エシカル”であることは、再生可能であることやごみが少ないことだけではありません。


“エシカル”という考えは統一的な概念ではなく、柔軟に一人ひとりの中に定義を持つべきもの。

言葉の表面的な意味だけではなく、その本質に立ち返ること、自分の中でオリジナルの解釈を持つことこそ、今私たちに求められていることなのかもしれません。


企業だけではなく、私たち一人ひとりがエシカルであることをもっと意識し、心地よく過ごすことができる社会になることを目指して、私も日々の行動を見直してみようと思います。






- SB横浜2021 レポート#2 - に続きます。


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